笹の川酒造株式会社
福島県郡山市笹川一丁目178
原材料名/米(国産)・米麹(国産米)
酒造好適米【山田錦】100%使用
精米歩合60%
アルコール分/14%
(以上、ラベルより転記)
東北本線に乗って北上して会津若松方面の乗換駅である福島県の郡山駅を目指すとき、水郡線が右から合流するのが見えるとまもなく、郡山駅のひとつ手前の安積永盛(あさかながもり)駅に到着します。
その安積永盛駅を出発し、いよいよ次は乗換えだと思いながら車窓を眺めていると、進行方向右側に、笹の川酒造さんの煙突が見えます。
このお酒は、酒造好適米の山田錦を100%使用しているとのことです。
山田錦というお米は、「大正12年、兵庫県農業試験場で(中略)つくられた人工交配種」で、「その後、(中略)他の新品種も多数誕生したが、酒米の王座を譲ることなくいまに至っている。」(※1)と言われるくらい、もっとも優れた酒米なのだそうです。
山田錦がどれだけ優れているのでしょうか。
ある文献では「酒造家や杜氏の方に「山田錦」の優れているところを聞くと、「山田錦」を使うと安心して酒造りができるという答えが返ってくる。酒造りは精米から麹造り、酒母造り、そして仕込み、発酵と複雑な工程を経る。そして、麹菌や酵母などの微生物をうまく管理するために、温度やアルコールの出方などに最新の注意を払いながら作業が行われる。「山田錦」を使った場合は、非常に安定して各工程が進められるとのことである。」とのこと。
また、「「山田錦」で造った酒の味は、濃醇で幅があるとよく言われる。」とか、あるいは「山田錦」の酒は味、香りに広がりが違い、口の中の広がりがふくよかである。」とも言われています(※2)。
上記文献が評するように、果たしてこのお酒は濃醇で幅があってふくよかなのでしょうか。
純米吟醸酒ですので、まずは冷蔵庫で冷やしていただきます。
いわゆる吟醸香はまったくしません。
一口いただくと、まず酸味を感じます。
いや、酸味というよりも、むしろ軽い苦味と言ったほうが適切かもしれません。
うまみはあまりよくわからないくらいはっきりしておりません。
甘みもまったく感じません。
アルコールの香りもありません。
上記文献の評価とは正反対の、あっさりした、淡麗薄口のお酒でした。
3分の1ほどいただいたところで、いつものとおりぬる燗にしてみます。
ちょっと温めただけで、アルコールの香りが際立ってきました。
純米というよりも、普通酒のような強い香りです。
それだけでなく、なんかヒネたようなニオイまで立ってきました。
これはいただけません。
うまみも若干はっきりしてきましたが、それでもあっさりしています。
うまみだけではなく、苦味もかなり増してきました。
このお酒は、燗には向いていないと思います。
冷やしていただくべきでした。
それにしても、上記文献のような山田錦の良さは、このお酒からは感じることができませんでした。
いやぁ、こういうお酒に当たる日もあるのですね。
(※1)小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.99(2000.4 柴田書店)
(※2)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.25-27(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
この記事へのコメント
newton
あとりえSAKANA
これはいただけません】
前回もそうでしたが、残念な時の表現が
ものすごく伝わります。
笑っては失礼だと思いましたが、笑ってしまう
ぐらい「OH!NO!」感に溢れています(^_^;)
美味しくない!と思った途端に1日の疲れが出る
ことでしょう。お疲れ様でした☆
skekhtehuacso
吟醸酒は、普通酒と比べて熟成に時間をかけるからでしょうか、燗にすると変なニオイが出てきてしまうようです。
以後、吟醸酒を燗にするのはやめておこうと思います。
燗酒が好きなのですが、おいしいものはおいしいままでいただくことにします。
skekhtehuacso
カップ酒を買うときに、これはきっとおいしいだろうなぁと予想して買うのですが、その予想がはずれたときは、やはりがっかりしてしまいます。
そんなお酒だって、造った蔵元さんは心を込めて造っている(はずである)わけですから、できるだけその想いを尊重しながらがっかりしようと思っています。
しかし、あとりえSAKANAさんのコメントを拝読するに、私は上手にがっかりできていないようですね。