【お酒】1054.六十餘洲 金撰 カップ

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今里酒造株式会社
長崎県東彼杵郡波佐見町宿郷596

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール・糖類・酸味料
アルコール分 15度以上16度未満
200ml詰
(以上、ラベルより転記)




このブログを始めてから3年が経ちましたが、ようやく長崎県のお酒をはじめていただくことができました。

これで残るゼロ県は、宮崎県、鹿児島県、そして沖縄県の3県となりました。
しかし、これらの各県では焼酎や泡盛が好まれているようで、いわゆる“日本酒”(私は日本酒という言葉を使いたくはないのですが、ここではいわゆると二重引用符とを付して便宜的に使います。)を造っている蔵元さんは、私が知る限りでは宮崎県に2軒、鹿児島県と沖縄県とには1軒ずつしかないはずです。
それ故、これらの各県へ酒集めに出かけることは非常に効率が悪いことから、おそらく私が焼酎や泡盛に興味を持ちはじめないかぎりあり得ないと思います。

すなわち、これら各県で作られたいわゆる“日本酒”をこのブログで紹介できるかどうかについては、偶然に入手できることにかかっているというわけです。


話を今日いただくこのお酒に戻しましょう。
このお酒の銘柄である“六十餘洲”(ろくじゅうよしゅう)については、手元にあった文献に以下のような解説がありました。

 今里酒造の創業は江戸中期の一七七二年で、銘柄の『六十餘洲』は、以前日本には六十余りの国々があったことから、日本全国という意味合いで、日本中の皆に飲んでいただきたいという想いをこめて名付けられた。」(※1)

そんな壮大な願いが込められたこのお酒ですが、誠に残念ながら糖類酸味料フル添加の三増酒でした。
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普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、少し着いていることがわかる程度でした。
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あれ?

うまみはやや濃いめです。
一口目の初っ端では添加された味のクドさが舌に乗ってきますが、味わってみると醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみを感じますし、うまみ自体に深みもあるみたいです。
また、軽い苦みもちょっとだけあるみたいですが、これもいい具合に効いています。
それでいて、キレはよいみたいです。

酸味はややひかえめです。
すっぱさとさわやかさとをちょっと感じる程度です。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
甘ったるさやクドさはないものの、少しべとつくみたいです。


やや濃醇で旨やや甘口のおいしいお酒でした。
添加された味を感じますが、そのクドさはひかえめです。
それでいて酒臭さ(←あくまでもほめ言葉です)や深みがあることから、三増酒にありがちな画一的でうすっぺらい味わいではないですね。
また酸味が穏やかで、キレもよいことから、角のない味わいに仕上がっていると思います。
糖類酸味料フル添加の三増酒にしては、なかなかいけるのではないでしょうか。
もし機会があれば、特定名称酒も味わってみたいところです。


(※1)檜原勇多賀『日本酒を愉しむ-長崎県の酒蔵をあるく-』p.18(2015.2 長崎文献社)

この記事へのコメント

  • skekhtehuacso

    エクスプロイダーさん、飲んだということに付け加えて、どのような味わいであったかということもご披露いただけると、当方としては参考になるのですが。
    2016年12月16日 23:03
  • スライ

    現代に三増酒なんてない

    誤った知識で名誉毀損しない方が良い
    2022年07月25日 12:18
  • skekhtehuacso

    スライさん、ご苦労さまでございます。
    大事な昼休みを潰してまでコメントを頂戴しちゃって。


    私のブログでは、三増酒という言葉は、
    「糖類や酸味料を添加したお酒」
    という意味で定義付けた上で使用しています。
    https://dekaketatokiha.blog.ss-blog.jp/2014-01-15

    このことは「さらに昭和二十四年からは、アル添酒以上に酒を増量して酒造用米の極端な不足を補うために、「三倍増醸酒」の製造が実施された。発酵を終えたもろみの末期に調味アルコール(アルコールにぶろう糖、水あめ、有機酸類、調味料などを混和したもの)を添加して数日後に搾るもので、略して「三増酒」と呼ばれる。」(小泉武夫監修『日本酒百味百題』p.55 2000.4 柴田書店)という記述に依拠します。

    たしかにおっしゃるっとおり、昨今の法改正以後は3倍まで増醸することはできず、せいぜい2倍が限界になっています。
    よって、三増酒は清酒としては存在しなくなったことは事実です。

    でも、その法改正がされた後、「糖類や酸味料を添加したお酒」を三増酒以外の言葉で呼称する例を、私は書籍や論文で見たことがございません。
    “二増酒”とでも言うべきなのかもしれませんが、そんな言葉は知りません。

    それ故に、私は、法改正以後も「糖類や酸味料を添加したお酒」という意味で三増酒という言葉を用いております。
    一般的にも、三増酒という言葉を「糖類や酸味料を添加したお酒」という意味を表現する言葉として使用することには問題ないものと推察されます。


    なお、誤った知識で名誉棄損とのご指摘ですが、
    三増酒という言葉を上記の意味で用いている限り、お酒の原材料名に糖類・酸味料の表示があれば、それを三増酒と評することは単に公表された事実を指摘しているだけであって、けっして名誉棄損には当たらないと考えますが、いかがでしょうか?

    むしろあなたのように、ご自分の素性を明らかにすることなく私を攻撃するほうが、むしろ私に対する侮辱あるいは脅迫に該当すると思います。
    それに私の考えを否定したいのでしたら、他人の論稿を引っ張って来るだけではなくて、自分でブログでも開設して「三増酒という言葉はおかしい」という論陣を張って私に堂々と立ち向かってきたらどうですか。


    いずれにせよ、
    ケンカ腰の相手と見解の相違を埋めることはできないでしょうから、
    解決方法はただ一つ、

    気に入らないなら、もうオレのブログを読まないでくれたまえ。
    2022年07月25日 20:54
  • スライ

    気分を悪くされたようですね、大変失礼いたしました。
    一方で、後述の(1)〜(3)から、次の文章は大変失礼な内容です。

    "そんな壮大な願いが込められたこのお酒ですが、誠に残念ながら糖類酸味料フル添加の三増酒でした。"

    (1) 糖類や酸味料を添加して3倍程度まで増量した酒は三増酒と呼ばれる。したがって、三増酒は良くない酒のことを指す。

    (2)「糖類や酸味料を添加したお酒」の略称はない。しかしながら、略称がないからといって、それは3倍に増量された酒ではないのだから、三増酒と呼ぶのは乱暴である。ましてや、略称を用いる必要などない。

    (3) 三増酒という言葉は、「糖類や酸味料を添加したお酒」という意味で定義付けた上で使用とのことだが、本投稿からそのような記述は確認できない。読み手はエスパーではなく、ましてや全員があなたの記事に興味があるわけではないので、他の記事のことは、引用などがなければ皆目見当もつかない。一般的な意味とは異なる定義で言葉を選べば、他者の誤解を生む可能性があるのは自明である。


    さて、次の文章は、貴ブログの開設の辞からの引用です。

    "私は、いつも、以下のようなことを考えます。
「どう書けば、相手に“正確に”伝わるか。」"

    ご自身の勝手な定義を用いることは、正確性を損ねる典型の一つですが、いかがでしょうか。

    特に、糖類や酸味料が風味づけに使われた可能性はなかったのか、確認されたのでしょうか。その結果、酒を作る方々の心を踏みにじる表現にはなっていませんでしょうか。

    せっかく立派な初心があるのですから、そちらに帰ってはいかがですか。

    ましてや脅迫とは、意味がわからない。他人の名誉を傷つける行為ではないかという指摘をしただけですが、どの辺りが脅迫なのでしょうか。

    本内容を曲解し、それを流布しない限りは、今後はコメントを差し控えます。
    2022年07月26日 22:34
  • skekhtehuacso

    スライさん。


    ブログ開設の辞に立ち返ること、今後肝に銘じます。
    ご指摘の点、気を付けたいと思います。

    「酒を作る方々の心を踏みにじる表現」になっているとのことですが、この記事を最後までお読みいただいたでしょうか?
    “おいしいお酒でした”と申しておりますよ。

    糖類添加の三増酒であっても、おいしいものもきっとあると思い、三増酒にも手を付けさせていただいている次第でございます。


    一方で、「糖類や酸味料が風味づけに使われた可能性」ですが、酸味料はともかく、糖類が風味付けで添加されているという例を私は読んだり聞いたりしたことはございません。

    たしかにいいちこなどの大分麦焼酎では、甘味を添加するためにかつて糖類が添加されていたということは知っております。
    ですが清酒の場合は、終戦直後の米不足に対応して開発された増醸策であって、それが今でも残っているというのが、私の認識です。

    もっとも、長年にわたって増醸のために糖類酸味料を添加しているので、今更それを廃止してお酒の味を変えてしまうと、今までの味を好んでくださるお客さんが離れてしまう可能性があるので変えられないという事情はあり得るかと思います。


    また、三増酒という言葉ですが、「(今は三倍ではないけれど)増醸されたお酒」という意味であることは一般的だと私は認識しています。

    それに(アル添はともかく)、糖類添加は増醸以外の利点がなく、できれば廃止してほしいというのが、私の考えです。
    それ故に「誠に残念ながら糖類酸味料フル添加の三増酒でした。」と表現した次第でした。
    でも、おいしかったけれどね。


    最後に、脅迫についてですが、

    素性のわからない赤の他人からいきなり「名誉棄損だ」とまくし立てられたら、そりゃ誰だって、

    「うわ!、
    荒らしだ!!、
    怖っ!!!」

    って思うでしょう。

    それなりの礼儀を弁えてコメントしていただいていたら、恐怖心は抱かなかったのに。
    2022年07月27日 06:59

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